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空き家のまま放置する事の問題点

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空き家の定義は、1年を通して人の出入りがなく、電気・ガス・水道の使用がない状態が続いている建物を指します。空き家が発生する大きな原因が、適切な相続で行われない事です。近年は核家族化が進んでおり、親の死後も引き継がれずに残されている家は増加傾向にあります。2015年時点で全国の空き家率は13%を越え、今後も増え続ける事が確実視されています(※注)。

※注;日本の人口は、今後減少していく事は揺るぎない事実です。にも関わらず大東建託やシノケンなどの不動産業者が、相続税対策として地主にアパートを建てる事を勧めており、特に地方では明らかに住宅の過剰供給が加速しています。従って、政府が1千万人規模の大規模な移民受け入れでもしない限り、日本で将来的に空き家が更に増えていく事は、ほぼ確実な未来なのです。

しかし、空き家をそのまま放置しておく事は問題の多い行為です。木造住宅だと1〜2ヶ月人の出入りが無いだけで、換気不足でカビやシロアリが発生しますし、水を流していないと水道管が悪臭を放ってくるなどして、一気に老朽化が進みます。雑草が生え放題になったり、野良猫や野鳥が住み着いたり、蜂の巣がつくられたり等、周辺住民に迷惑が掛かることも多いです。

2015年にALSOKが公表した空き家に関する意識調査によると、周辺住民で空き家の事を「何とも思わない」人は37%で、6割以上の人が「汚い・不安・危険」などのネガティブな感情を持っているとの事です。

何より、空き家は放置のままでも、固定資産税(賃貸の場合は家賃)を払い続ける必要があります。固定資産税は、毎年1月1日に土地や建物を所有している人に市町村が課す税金の事です。

誰も住んでいない建物にお金を支払い続けるのは無駄とも思えますが、実は相続で空き家が放置される事の大きな理由は、固定資産税に特例制度の仕組みがあるからです。それが、土地に家が建てられていた場合、200平方メートルまでなら固定資産税を1/6に減額する「固定資産税の特例」という制度です。つまり、建物を壊すより(使わない家でも)そのまま残しておいた方が、固定資産税が安くなるから得だ、という事情があるのです。

しかし、放置空き家が増え続ける事を問題視した政府によって、2015年より「空き家対策特別措置法」が施行されました。空き家対策特別措置法は、空き家の中でも特に深刻な状態にある「特定空き家」に認定されると、自治体が強制的に解体・撤去などの対応が行える制度です。

特定空き家には、倒壊などの危険がある空き家、衛生的に有害となるリスクがある空き家、著しく周囲の景観を損なっている空き家、などが該当します。市町村によって特定空き家に認定される事は、持ち主にとって大きな問題となるので注意が必要です。2016年3月には東京都葛飾区で、20年以上放置されていた木造二階建ての家屋に対し、全国初の空き家対策特別措置法を適用した行政代執行(空き家の解体)が行われました。

特定空き家に認定されると問題が多くなる

特定空き家は、まずレベル1として「助言または指導」が行われます。建物の修繕や除去など、周辺の生活環境を保全する措置をとるように指示されます。この段階では、まだ大きなデメリットは生じませんが、自治体から「危険な家」としてターゲットされます。

助言または指導を受けても対応しなかった場合は、レベル2として「勧告」が言い渡され、前述の固定資産税の特例から除外され、税金が6倍になるので特に注意が必要になります。

それでも何もしなかった場合は、レベル3の「命令」が執行されます。命令に従わない場合は50万円の過料が徴収されるうえに、市町村は空き家の強制解体(行政代執行)が出来るようになります。なお、この撤去費用は最終的に空き家の所有者に請求されますので、代わりに撤去してくれるのなら得だ〜などと思うのは早計です。

相続で空き家のまま放置する事の問題点まとめ
・空き家でも固定資産税がかかる
・長期間放置していると、固定資産税の特例から除外され、強制解体の費用を請求される可能性もある
・不動産の売却には時間が掛かるし、リフォームして賃貸するにも空室リスクが高いので注意が必要

このように、空き家をそのまま放置しておく事には問題が多いです。対策としては、空き家を売却する事や、リフォームするなどして遺族の誰かが住む、第三者に賃貸として貸し出す、などの方法があります。ただし、空き家に限らず不動産の売買は時間が掛かりますし、残念なことに日本では築20年以上の家は評価額がほぼゼロになります。賃貸物件にリフォームしても、少子高齢化による人口減少で「家余り」の時代が来ているので、余程の好立地でなければ上手くいく可能性は低いでしょう。

すぐに売却等ができないようなら、空き家管理サービスを利用して、ご近所さんに迷惑を掛けないようにすべきでしょう。空き家管理サービスは、大東建託や三井不動産などの大手企業から地場の便利屋のような小さな会社まで、様々な企業が行っています。どの業者でも内容は大体同じで、数千円〜1万円程度の料金で月1回ほど、係員が家の換気・水道の通水などを行ったり、庭の清掃やポストの郵便物の回収などを行ってくれます。

いずれにせよ、空き家対策は急に出来るものではなく時間も手間も掛かるので、相続が発生する前から、実家をどう処理するのかという問題を真剣に考えるべきです。

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