HOME > お葬式の種類と料金比較
お葬式は、故人との別れを偲ぶための行事です。お葬式をスムーズに進める事が、故人への一番の供養となりますが、遺族にとっては準備することが多すぎて大変ですので、あらかじめ一通りの手順を把握しておくべきです。
最初に準備すべきなのは、お葬式を執り行う遺族の代表者である喪主を決める事です。一般的に、喪主になるのは故人の配偶者か子供(主に長男)ですが、特に明確なルールは定められておらず、誰がなっても構わないです。その後の葬儀社選び、葬式の日時や会場の決定、お坊さんへの連絡などは、全て喪主が主導して行われます。仏教では宗派によって葬儀形式の違いがありますが、それはお坊さんや葬儀会社に任せておけば大丈夫です。
以下、お葬式の種類と料金や注意点を比較してみます。お葬式には大きく分けて4つの形態があります。大勢の人を集めて告別式を行う「一般葬」、親族のみの小規模で行う「家族葬」、通夜をせずに葬式のみを行う「一日葬(ワンデイセレモニー)」、通夜や告別式をせずに火葬だけを行う「直葬(密葬)」です。イオンやティアなどの大手企業では、タイプ毎に料金やサービス内容が明確になっているので、分かりやすいです。
なお、お葬式を行うお金がない人は、自治体が補助金を出してくれる福祉葬があります。
一般葬〜参列者も多く料金も高い、従来からのお葬式の方式
一般葬は昔ながらの葬儀の方式で、親族に加え、故人の友人や職場仲間、ご近所さんや町内会の人など、大勢の人に参列してもらって盛大に行うお葬式です。葬儀の流れとしては、亡くなってからは遺体の安置→通夜→告別式→火葬→初七日という手順で執り行われます。親族や町内で悪い評判が立たない無難なお葬式ですが、料金が高いデメリットがあります。
一般葬は人が多く集まるゆえに、葬儀料金は4種類の中で最も高くなります。東京など首都圏における、参列者が70人程度の場合の一般葬の料金相場は、平均でおよそ108万円(内訳は式場や火葬場の費用が30万円、葬儀費用が38万円、食事や香典返しなどの接待費用が40万円)となっています。しかも注意したいのは、この料金にはお坊さんに支払うお布施などは含まれていないので、お葬式全体の費用はさらに必要になります(⇒お坊さんへのお布施の平均的な相場)。また、葬儀関係者への心付けも、他の形式よりも高額になります。
家族葬〜親族だけで行う、小規模なお葬式
家族葬は親族だけで行われる種類のお葬式で、参列者に必要以上に気を使う事なく、ゆっくりと故人との別れを偲ぶ事が出来るメリットがあります。一般葬との違いは参列者が家族に限定されている点のみであり、一連の手順や内容は基本的に同じです。
近年では、家族葬を選ぶ人の割合はおよそ32%にも上っており、これまで主流だった一般葬(約42%)との差は年々縮まっています。家族葬が増加傾向にある理由としては、一般葬と比較して安価で済むという経済的な要因や、現代人は近所付き合いが希薄化している事などが考えられます。親族20人程度が集まる場合の家族葬の料金相場は、平均74万円(内訳は式場・火葬の費用が30万円、葬儀費用が29万円、接待費用が15万円)ですが、やはりお坊さんへのお布施は別途必要です。その他詳しい内容は家族葬の評判〜料金の相場と問題点のページをご覧下さい。
一日葬〜お通夜を行わない簡素な方式
一日葬は、通夜を行わないお葬式の形態です。ワンデイセレモニーと呼ばれることもあります。会場の費用が一日分しかかからないうえに、葬儀の参列者も少なくなるので、料金が安く済む点が大きなメリットです。
通夜を行わない事以外は、一般葬や家族葬と同じ流れです。親族10人程度の一日葬の場合、式場・火葬費用が30万円、葬儀費用が35万円、接待費用が5万円で、平均料金は約70万円です(一般葬や家族葬と同様、お坊さんへのお布施は別途必要)。
直葬〜お葬式を全く行わず、火葬だけで済ませる方式
直葬は、通夜も告別式も行わないので、4つの種類の中でも圧倒的に費用が安いのが特長です。遺体の安置後はそのまま火葬場へ搬送されるので、余計な料金がかかりません。なお、日本の法律では死後24時間は火葬出来ないと定められていますので、直葬でも丸一日以上かかる点は注意すべきです。
また、福祉葬の場合も最低限の補助ということで直葬となります。詳しくはお葬式を省く「直葬」の割合とデメリットのページへ。
直葬はシンプルゆえに、参列者はごく近しい親族のみとなりますから4〜5人程度と少ないです。直葬の料金の相場は、平均で19万円(式場・火葬費用が6万円、葬儀費用が13万円)と他の葬儀と比較しても圧倒的に安く済みます。また火葬場で少しお経を読むだけなので、お坊さんへのお布施も少額で済みます。但し、親戚などから反対されやすいという評判が多いですから、故人が強く望んでいた等、明確な理由付けが無いと選びにくい方式です。
このように4つの種類のお葬式は、それぞれ料金や内容が大きく違っています。お葬式はやり直しの出来ない儀式なので、後悔する事のないように十分に比較検討して選択すべきです。
ちなみに香典でどの程度お葬式の費用を賄える?という疑問もあるでしょうが、精々一人5千円未満ですし香典返しも必要なので、葬儀代としてあてにするのは間違いです。近年では香典を受け取らないという考え方も広まってきており、それなりにメリットのある方法です。
お葬式の種類と料金の比較まとめ
・一般葬は最もオーソドックスなタイプの葬儀で、豪華な分料金も高い
・家族葬は一般層と比べて料金が安く、近年利用者が増加している
・直葬は料金が安く抑えられるが、親族の評判には注意が必要
・香典だけではお葬式代を賄うことは出来ない
このように、最も注意すべき点はやはり料金の高さです。日本消費者協会の2014年の調査によると、お坊さんへのお布施も含めたお葬式全体の料金は、全国平均で188万9000円とかなり高額です。中でも料金が高いのが戒名(故人が死後に付けられる名前)で、ただお坊さんに名前を付けるだけでおよそ40万円もかかります。
関連ページ;戒名のボッタクリを避ける方法
お葬式関連では、特にお坊さん関連のコストが高いです。葬儀の後も、四十九日や年忌法要(ねんきほうよう)など、何度も顔を合わせることになります(⇒お坊さんを呼ぶ行事と回数)。故に、お坊さんの選び方の基準に記したように、特定の宗派や菩提寺がない場合は、インターネット等でお寺やお坊さんの評判を比較して選ぶのが賢い方法です。