親や夫が亡くなったら行う手続き
世帯主が死去したら、家族が行わねばならない手続きが沢山あります。

孤独死の部屋を片付ける「特殊清掃業者」の料金相場と注意点

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近年、一人暮らしの老人が部屋で亡くなって何日も気付かれないでいる「孤独死」の増加が、大きな社会問題となっています。孤独死の件数が増えている原因は、核家族化が進んだ影響で、一人暮らしの高齢者が増加した事です。東京都監察医務院のデータによると、東京都では一日当たり10人前後の孤独死が発生しているそうです。今後さらに高齢化社会が進む事で、孤独死の件数がますます増加する事が懸念されています。

※正確な全国統計は調査されていませんが、年間3万件以上あると言われています。

孤独死が起きた場合、ハエやウジが大量に発生する事で遺体は恐ろしい程の悪臭を放ち、その部屋は想像を絶する状況になります。人間の体内には常に様々な細菌が潜んでいますが、生存中は免疫機能があるため、細菌が異常増殖する事はありません。しかし死亡すると免疫機能が働かなくなるため、細菌が増加して体が一気に腐敗して溶け出し、悪臭を発生させるのです。

こうした孤独死の部屋を、個人で片付ける事は不可能です。腐敗臭は部屋中に染みつき、市販の消臭剤程度では全く効果がなく、専用の特殊な薬が必要です。そもそも悪臭が酷すぎて、素人が部屋の中で作業をする事など絶対に不可能です。

ゆえに、このような場合の部屋の片付けは、孤独死の部屋の原状回復に特化した「特殊清掃業者」に依頼することが必須となります。遺品整理業者の中には、特殊清掃も請け負うという会社もあります。

そしてこの特殊清掃の現場は、気を付けねば大きなトラブルが起きかねないので、業者との打ち合わせでは十分な注意が必要です。

孤独死の部屋にあった物品は、大半が(悪臭が染みつくため)ゴミとして処分せざるを得なくなります。しかし、遺言や預金通帳や契約書の類など、遺産相続や各種手続きで必須となる物も沢山あるので、それらを捨てられないよう注意せねばなりません(⇒捨ててはいけない故人の持ち物)。まともな業者なら、その事は承知しているはずですが、作業開始前には必ず念を押しておくべきです。

加えて、悪質な特殊清掃業者は、室内で見つかった金品類を着服する輩も居る・・・という口コミも聞かれます。状態が酷くない部屋なら、消毒や消臭などだけを業者に依頼し、遺品整理は家族で行うという方法もあります。酷い状態の部屋なら、一緒に入って確認することすら事実上不可能なので、難しい注文ではありますが、業者には「親は沢山へそくりを隠していたはずだ」などと一言牽制しておくと有効かもしれません。

特殊清掃業者の料金と注意点

特殊清掃業者の料金相場は、遺体の状況によって大きく変わります。リフォームまでは不要な軽度の特殊清掃業務だと、10万円程度で済む事もあります。しかし、遺体が数週間から数か月も発見されずに腐敗が大きく進行していた場合は、100万円以上の料金が必要となる事もあります。特に夏場は腐敗のスピードが激しく、発見が一日違うだけで相場は20万円以上も跳ね上がる可能性があります。

また、特殊清掃には悪徳な料金形態を取る業者も多い事にも注意です。「見積もり額と大幅に違う料金を請求された」「遺品整理も請け負うと謳っておきながら、単なる廃品回収だった」なんて口コミも聞かれます。事前に悪徳業者を見分けるのは中々難しいですが、相場と比べて極端に安い金額を提示していないか(特殊清掃を安価に行う事はほぼ不可能)をチェックする事で、被害に遭うリスクは軽減されるでしょう。

孤独死は遺族の金銭的・精神的負担が大きくなる上、賃貸アパートなどの借家だと大家や他の住民にも多大な迷惑が掛かるので、未然に防ぎたいところです。たとえば身体が悪い高齢者なら、訪問介護のサービスを利用する方法があります。週に2〜3回程度ヘルパーに家に来てもらう事で、生活の手助けをしてもらえると共に、安否の確認が出来ます。

また、近年では独居老人の安否を確認するための商品・サービスも増えています。例えば象印マホービンは、ポットの利用状況を通知してくれる「みまもりほっとラインi-pot」というサービスを実施し、評判を呼んでいます。他にも、東京ガスの「みまも〜る」、セコムの「ライフ監視サービス」、NTTドコモの「おらのタブレット」など、様々な企業が高齢者を見守るサービスを行っています。高齢の親が一人で住んでいるなら、この手のサービスの利用も考えたい所です。

ですが基本は、高齢者を極力一人で住ませないこと、身体が悪いなら老人ホームへの入居を考えるべきで、それが無理なら家族が頻繁に連絡を取ることが最善です。PCやタブレットを買い渡して、孫と対話させるなどの工夫もありでしょう。

孤独死の部屋を片付ける料金相場と注意点まとめ
・個人で片付ける事は不可能。特殊清掃業者に頼むしかない
・特殊清掃の料金相場は10万円〜100万円以上と状態で大きく変わる
・業者には、遺言や印鑑などを捨てられないよう、念押しで注意すべき

なおインターネットでは、孤独死で不動産オーナーに「事故物件扱いになるから」と数百万円単位の慰謝料を請求された・・・なんて酷い口コミも聞かれます。しかし孤独死は、宅建法第35条の「告知義務」にも「心理的瑕疵」にも該当はしませんから、法律上は事故物件として扱う必要はありません。そもそも大家は、事故物件発生に備えて損害保険に入っているはずなので、そこは言いなりにならず、法律を盾に抵抗してみるべきでしょう。

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