HOME > 遺品整理 > 趣味の遺品買取でぼったくりを避ける方法
家族が亡くなった場合、遺族が困る事が多いのが遺品整理です。特に、壷や掛け軸などの骨董品、古銭や切手など趣味の遺品については、素人では価値の判断が難しく、処分方法に悩む遺族はとても多いです。そこで、価値が分かりにくい趣味の遺品を、ぼったくり業者を避けて、高額で処分するためのポイントを紹介しておきます。
まず、趣味の品がなぜ高額で売れる事があるのか、その内情について。
例えば切手は、戦後の1950〜1970年代にかけて「切手ブーム」が起きました。印刷技術が発達し、美しく鮮やかな切手が製造できるようになった事や、1964年の東京オリンピックや1970年の大阪万博など、国際イベントの記念切手が数多く発売された事がブームのきっかけです。その頃、収集に夢中になった人達が現在は高齢者となっているので、遺品整理で大量の切手が発見されるという事例が増えているのです。
切手はほとんどが額面以下の金額でしか売却できませんが、中にはプレミアが付いて5万円や10万円といった高額で取引される物もあります。特に希少な記念切手は、使用済み(消印が押されている)であっても、欲しいマニアが多いので、高額な買取価格となる事もあるのです。
他にも、壷や掛け軸・屏風、茶器・食器などの骨董品は、日本が高度経済成長した昭和中期あたりから、急激にコレクターが増えました。また当時は無関心だったのに、1990年代に始まったテレビ番組「なんでも鑑定団」の影響から、定年退職後に骨董品マニアになったという高齢者も増えました。
※切手は消印が押されていても高値で売れるものもある。
このような趣味の遺品の主な売却先は「遺品整理業者に任せる」「ヤフオクなどのネットオークションサイト」「専門の買取業者」の3つの方法があります。まず絶対に避けたいのが、面倒だからと遺品整理業者にそのまま任せることです。
遺品整理業者は清掃・片付けはプロですが、骨董品買取の専門ではないので、希少性の高い壷や年代物の掛け軸などの価値を見抜けないケースが多いです。中にはそこそこの目利きはあるものの、遺族の無知につけ込んで相場より低い価格しか提示しない、ぼったくり業者も存在するので注意が必要です。そのため遺品整理業者が「ウチで買取・処分いたしますよ」と行っても、余程邪魔になる大型の物でない限り、彼らに買い取りしてもらうのは勿体ない行為です。
一方、遺族が自分達で直接、買い手を見つけて売る方法もあります。ヤフオクのようなネットオークションサイトなら、業者の中間マージンが最小なので、古銭や切手などは最も高値で売れる可能性がある事が最大のメリットです。
ただしオークションサイトは、出品や配送作業に手間が掛かることがデメリットです。また、目の肥えたマニアが多く値段にシビアなので、過度の期待を持つべきではないです。なお、同じ個人間売買でも「メルカリ」は、ヤフオクよりも客層が圧倒的に低品質(貧困層やマナーの悪い輩が多い)ので、骨董品類の売却には全く向かないです。
ということで、最も有効なのは各商品の専門業者に売る事です。切手なら切手、古銭なら古銭の専門業者に買い取ってもらうのが、素人が最も失敗しない方法です。
買取してもらう際は、わざわざ店舗を探して出向く必要はありません。大抵の業者が、自宅まで査定に来てくれる「出張買取サービス」があるからです(しかも査定に来るのは無料なことが多い)。特に、茶器・茶碗や壷など破損の可能性がある物は、素人が運ぶのはリスクが高いですから、絶対に出張買取を利用すべきです。
また切手や古銭など小物の場合、品物を郵送する事で査定してもらえる業者もあります。こちらも出張買取と同じく便利なサービスなので、ぜひ利用すべきです。注意点があるとすれば、切手のような小さな物を大量に送る際は、こっそり数枚抜き取るような悪質業者のリスクがある事です。心配な人は郵送する前に、内容物をリスト化して同封する、写真に撮って記録する、といった対応をしておくと良いでしょう。
※なんでも鑑定団の影響で日本中に古銭マニアが増えた。
そして買取業者を使う場合にも、時間や労力を惜しまないなら、できるだけ複数の会社に見積もりを取って、相場を比較したいところです。専門業者でも一部には、価値の高い品物と知った上でぼったくりな価格を提示する悪質な会社もあるからです。
また「海外の切手は取り扱っていない」「金額の少ない切手は買取しない」など、業者によって買取内容が違う場合もあるので、比較は必須です。中には、買取の価格表を掲載している業者もあるので、こうした値段を参考にするのも良いでしょう(一例【PDFファイル】)。
そして出張買取や店頭見積もりで、業者の店員と話をする際は、交渉で不利にならないよう、以下の点を注意して下さい。
見積もりする際の重要なポイント
・こちらから買取希望額は絶対に言わない
・他の業者の査定額は明かさない
・自分がその分野の素人である事を悟られないようにする
・店頭に持っていく場合は、一人ではなく複数人で行くべき
(古物に詳しい人や口の達者な人が一緒だとベスト)
・自分で磨いたり修繕したりはすべきではない!
これらはぼったくり回避というより、上手な商談方法や交渉術などにも通ずる法則です。買取希望額や他の業者の査定額を知られると、それより少し高いだけの金額(本来ならもっと高い価値があっても)に買い叩かれる可能性が高くなるからです。また交渉事なので、こちらが複数人で挑む方が、冷静に判断できる等のメリットが生まれるので、圧倒的に有利になります。
最後の注意点として、遺品の買取は、品物の状態が綺麗なほど査定額が高くなりますが、多少の汚れやキズがあった場合でも、自分で修繕・クリーニングしてはいけません!素人の修繕で状態が大きく改善される事は無いですし、むしろ悪化させるリスクの方が高いからです。