親の家を遺品整理する際、その住宅を使う相続人が居ない(空き家になる)のであれば、さっさと家と土地を売却する方が賢明です。賃貸に出すなどの方法もありますが、日本の住宅事情を考えると需要は限られているので、一刻も早く売却処分するのがベターだと言えるからです。その場合の手順や手数料、注意点などについて解説します。
まず、親の家を売却する手続きの手順は、以下の通りです。
1.土地や建物の査定を依頼する
↓
2.査定を元に希望売却価格を決め、不動産仲介業者に売却依頼する
↓
(これ以前に遺品整理をして、内覧可能にしておくべき)
↓
3.購入希望者が現れたら、相手と売買価格などの条件を交渉し、契約を結ぶ
↓
4.購入者との決済確認後、実際に家を引き渡す
家を売却する場合、個人で不動産売買の各種手続きを行う事は出来ないので、不動産仲介業者に依頼する必要があります。不動産の仲介手数料の上限は法律で定められており、売買価格200万円以下の場合は5%、200〜400万円は4%、400万円以上の場合は3%となっています。基本的にはこの上限額が相場であり、値下げはほぼ期待出来ません。購入希望者との契約が成立した段階で手数料の半分、売却の決済が行われた段階で残り半分を業者に支払うケースが多いです。
不動産契約書には、それが法律的に有効であると証明するために印紙を貼る必要もあります。印紙代は、不動産の売却価格が100〜500万円の場合は1000円、500〜1000万円の場合は5千円、1000〜5000万円の場合は1万円、5000万円〜1億円の場合は3万円、となっています。
不動産を売買するうえでの必要書類は、本人確認書類、実印・印鑑証明、住民票、登記簿謄本、地積測量図、建物図面などです。近年の日本では、東日本大震災や熊本地震などの大規模な災害が起きており、不動産購入者が建物の安全性を気にするケースが増えています。ゆえに必要書類に加えて、その家の耐震性を証明する書類も用意しておくと、売買契約が有利に進む可能性が高くなるかもしれません。
そして親の家を売却する際の最大の注意点は、少しでも高額で売ろうなどと欲張らす、一刻も早く処分した方が有利になる可能性が高い事です。日本では家やマンションなどの住宅の供給過多、いわゆる家余りが社会問題になっています。全国の空き家率は2013年の段階で13%を越えており、今後は人口減少も進むため、家余りの状況はますます悪化していくことが確実です。
こうした事情から、立地が悪かったり、築年数が古い物件はほとんど買い手が付きません。田舎の古い家などは、タダでも引き取り手が居ないので、相続放棄した方がマシだという口コミもある位です。家や土地は、所有しているだけで固定資産税が掛かるというデメリットがあるからです。ゆえに今後は、使う予定のない親の家は、売却価格を多少安く設定してでも、とにかく早めに売りさばく方が良いと思われます。
親の家を売却する手順と注意点まとめ
・家を個人で売買する事は出来ないので、不動産仲介業者に依頼する
・必要書類が多い(住民票や登記簿謄本など)ので注意
・日本では空き家率が高まる一方なので、賃貸は期待できない
・家の所有には固定資産税が掛かるので、早めに売却した方が有利
最後に、不動産を売却した場合には、譲渡所得税を支払う必要がある事も注意点です。土地や建物を売却した際の利益は、譲渡所得税という独自の税率が用いられ、所得税や住民税に影響します。詳しい計算方法は少々複雑なので割愛しますが、課税譲渡所得金額(売却価格-必要経費など)が1000万円で、売却前に5年以上所有していた場合、所得税が153万1500円、住民税が50万円で、譲渡所得税は合計で約203万円となります。
よって、無事に家が売れても全額が手元に残る訳では無く、税金と不動産業者への手数料でかなりの金額が消えてしまう事を、あらかじめ念頭に置いておくべきです。