HOME > 遺品整理 > 形見分けと遺品整理〜トラブルの事例
形見分けは、故人が生前所有していた衣服や装飾品などを、近親者や友人に譲渡する事を指します。故人の家・部屋を遺品整理する際に、物を「捨てる」「売却して現金化⇒相続」「物そのものを相続」「形見分け」という4つの方法があります。
この中で形見分けとは、相続財産にならない(=金銭的価値の無いもの)ものを遺族などが引き取る行為な訳です。故人が愛用していた時計や指輪・ネックレスなど(但し売っても大したお金にならないもの)や、衣服や写真などが該当します。例えばロレックスの腕時計だと、売却すれば数十万円は下らない品なので相続財産と見なされますが、大衆的な時計は売れても数千円なので形見分けしても大丈夫です。
また本来、形見分けは親の物を子に分け与えるのが基本で、目上の人に形見分けをするのは失礼だという口コミが主流でした。しかし近年ではこうした考えも希薄になり、年齢や立場などに関係なく形見分けされるケースが増えています。
形見分けする期限に決まりはありませんが、一般的には親族が集まる四十九日を目安に行われる場合が多いです。形見分けはプレゼントとは違うので、譲る際も包装しない事がマナーです。
故人の持ち物の中でも、現金、株式、債券などは、形見分けではなく相続財産として扱わねばなりません(遺産分割の対象)。ゆえに形見分けされる物は、再販価値の高くない思い出の品が中心となります。というより、110万円を超える物を受け取ると贈与税が発生するので、注意が必要です。また遺産分割が完了していない状態で形見分けすると、遺産相続でトラブルになるリスクもあります。
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形見分けはあまり高額な物は対象にならないとはいえ、色々とトラブルが起こりがちな制度でもあります。中でも、宝石や美術品などは110万円はしなくとも数十万円の価値がある物は多いので、誰が何を貰うかで揉める事例は多いです。「生前に故人から譲り受ける約束をしていた」などと真偽不明な口約束を持ち出す親族がいると、更に揉める事は必至です。
他にも、故人の友人や知人から形見分けを求められるトラブル事例もあります。遺族が故人の友人関係を全て把握出来ていないケースは多く、どんな関係かもよくわからない人から、価値の高い物を要求されると揉める可能性は高いです。写真など金銭的価値の無い物ならともかく、「同じ趣味を楽しんでいた仲だから・・・」等と、売却してお金に換えれる趣味の品(囲碁や将棋盤・釣り具・ゴルフクラブ等)を他人に上げるのは注意すべきです。
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形見分けのトラブルは近親者だけでなく、遺品整理業者を巻き込んだ事例もあります。故人の持ち物の中には、他人から見れば価値は無い物でも、親族にとっては思い出の品なので大切にしたいというケースもあります。あらかじめ遺品整理業者とよく話し合っておかないと「思い出の品が勝手に捨てられた!」という嘆きの口コミも聞かれますので、注意すべきです。
形見分けと遺品整理〜トラブルの事例まとめ
・宝石などの価値の高い形見分けは親族間でトラブルになりがち
・遺品整理業者に思い出の品を捨てられるリスクもある
・勝手な形見分けは、遺産相続で揉める可能性があるので注意
ちなみに、レコード、切手、玩具などのコレクション品は、一般の人にとってはほとんど価値のない物ですから、同じ趣味を持つ人(故人と関わりの無かった人でも)に譲るのも良いでしょう。また、衣類などは福祉団体に寄付するのも喜ばれます。このように故人の持ち物は、形見分け以外に寄付・譲渡して社会貢献すれば、故人も草葉の陰で喜ぶかもしれませんよ。