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介護離職は金銭的に損である

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介護離職とは、家族(主に親)の介護をするために仕事を辞める事です。要介護者と同居しているなら別ですが、遠方に住んでいた場合は、仕事と親の介護を両立する事はほぼ不可能です。今の職に就いているままでは介護が行えないので、仕方なく退職するという人が近年増加傾向にあるといいます。

総務省の発表した就業構造基本調査によると、2012年の介護離職者は約10万人との事です。今後は高齢化社会が更に進み、要介護者や終末期医療の患者も増えていくので、介護離職者も増加していく事が予想されます。

介護離職の最大の問題は、その後の収入が大きく減少する事です。そのため、介護が必要な親が遠方にいる場合でも、介護離職して実家に戻るよりも、仕事を続けながら遠距離介護(ホームヘルパーや老人ホームに頼る)を続けた方が、金銭的に得だ!という試算があります。

以下の図は週間ダイヤモンド(2015年12/19号)で紹介されていたケースを元に作成しています。介護者は年齢50歳の男性で年収650万円、非介護者はその父親73歳で要介護3というケースを想定し、介護離職した場合としなかった場合にかかる費用を比較し、損得を試算したものです。

介護離職した場合の費用比較

まず、介護離職をしたケースの例です。民間の介護サービスを使わず自力で行うので、介護に関する費用は月額5万円程度で済みます。また交通費もかからないので、年間の介護費用は138万円となっています。ですが、仕事を辞めるので(帰郷先で再就職と過程)年収が200万円近く減少し、年金収入も年間11万円減、退職金は800万円も少なくなると試算されています。

一方、介護離職をせずに遠距離介護を行ったケースのシミュレーションです。親の面倒を老人ホームなどに任せる場合、サービス利用に月額15万円程度が必要であり、介護離職した場合よりも費用は高くなります。また、年に数回帰省するための費用も18万円、合計で年間306万円の介護費用との試算です。しかし遠距離介護は、介護にかかる費用自体は増加するものの、その分年収や退職金が減らない(介護離職のケースより多い)のがメリットです。

再就職できない、親が早期で亡くなる、等のリスクもある

上記で比較したケースでは、介護離職した場合は収入が2948万円も減少し、介護離職しない場合に余計にかかる費用1680万円と比較して、1268万円もお金を損をする計算になりました。

しかも、これは介護離職後にスムーズに再就職出来たケースでの比較です。親が介護が必要な年齢ならば、子供も40〜50歳にはなっているでしょうから、再就職は困難であり、収入が上記よりも少なくなるリスクも高いです。

また、親がすぐに亡くなった場合は更に悲惨で、離職した収入減少は補えませんが、遠距離介護だと仕事を続けたままなので収入減のリスクが無い、という違いもあります。当然ながら、余命が限られている終末期医療の場合は、金銭的に全く見合わない行為となります。

無論これはケースバイケースなので絶対とは言えないですが、多くの場合で介護の為に離職することは、収入の減少で損なだけでなく、帰郷先で思うように再就職できない、親が早期になくなると離職に全く見合わなくなる、という2つの不確定要素もあるため、全くリスクに見合わない行為といえます。

介護離職は損をする!まとめ
・介護のために離職する事は、お金の面で遠距離介護より損になる
・再就職出来ない、親が早期に亡くなるかも、という不確定なリスクもある
・遠距離介護はホームヘルパーや老人ホームへの入居など、介護費用が高額になるが、離職による収入減少が無く、不確定要素も少ない

このように、介護離職する事には不確定要素なリスクが多く、遠距離介護よりもデメリットが多いといえます。子供側からすると、親の面倒は自分で看たいという気持ちもあるかもしれませんが、金銭的には明らかに見合わないケースが多いことは覚悟すべきです。

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