HOME > 生前から準備すること > 生前贈与に関する3つの特例と注意点
生前贈与とは、生きている間に家族などへ財産を譲る事を指します。親が亡くなった後に子供が財産を引き継ぐ場合、相続税が掛かるため、得られる金額は減少します。ですが生前贈与をすれば、相続税が掛からずに財産を子供に渡す事が出来るのです。
生前にお金を渡した場合には贈与税が発生しますが、年間110万円までの基礎控除枠があるので、それ以内の金額のあれば税金は掛かりません。
そして、生前贈与には特例として更に3つの非課税制度が設けられており、これを利用する事で年間110万円以上の贈与も可能になります。以下は、その3つの非課税制度の詳細一覧です。
3つの非課税制度 | |||
住宅資金の贈与 | 教育資金の一括贈与 | 結婚・子育ての一括贈与 | |
目的 | マイホームの新築 中古住宅の購入、 増改築 |
教育資金 入学金、授業料、塾など 習い事の費用 |
結婚・子育て資金 挙式費用、新居の住宅費、 不妊治療費、子の医療費 |
贈与する人 | 父母、祖父母、曽祖父母 | 父母、祖父母、曽祖父母 | 父母、祖父母、曽祖父母 |
贈与される人 | 20歳以上の子、孫、ひ孫 (合計所得2千万円以下) |
30歳未満の子、孫、ひ孫 | 20歳以上〜50歳未満の 子、孫、ひ孫 |
お金の搬出先 | 貰う人に直接贈与する | 贈与される人の名義で 銀行に口座を開設 |
贈与される人の名義で 銀行に口座を開設 |
非課税枠 | 700万円〜1200万円 | 1500万円 | 1000万円 |
適用期限 | 2021年12月31日まで | 2019年3月31日まで | 2019年3月31日まで |
申告方法 | 贈与を受けた年の 翌年2月〜3月15日に 贈与税を申告 |
口座を管理する 銀行が行う |
口座を管理する 銀行が行う |
契約終了時の残額 | - | 貰った人が30歳時に 使い残しがあれば 贈与税が課税される |
貰った人が50歳時に 使い残しがあれば 贈与税が課税される |
贈与者が 死亡した時の相続額 |
相続税の課税なし | 相続税の課税なし | 使い残しが相続税対象 |
住宅取得資金贈与の特例
生前贈与の非課税制度の特例一つめは、住宅の購入資金を贈与する場合です。新築、中古を問わずに住宅を買う場合、そして家のリフォームなども対象で、700万円〜1200万円までの贈与が非課税となります。金額は家によって変わり、断熱性能などに優れた家や、耐震構造の家など、省エネ等住宅に当てはまる場合は1200万円まで、それ以外は700万円までとなっています。
注意点として、この非課税枠は2021年12月末までの時限立法ですが、何度か段階的に減額される事が決まっているので、毎年の情報チェックが重要となります。
教育資金贈与の特例
非課税制度の特例の二つめは、贈与を子供の教育費用に充てる場合です。子供の学校への入学資金や授業料、または塾など習い事のお金も対象となり、1500万円までが非課税となります。2015年からは、通学の定期代や海外留学の渡航費も対象になっています。
注意点は、贈与された人が30歳になった時に使い残した分があれば、残金に贈与税が課税される事です。ゆえに余分な贈与はせずに、必要な金額だけ授受する事がポイントです。
結婚子育て資金贈与の特例
生前贈与の3つめの特例は、結婚および子育ての資金に充てる場合です。結婚式の費用、新居の住宅費、子供の医療費などが該当し、合計1千万円までが非課税となります。
前述の教育資金贈与の特例と同じように、贈与された人が50歳までに使い切っていなければ、残りのお金には贈与税が掛かります。また贈与者が亡くなった場合も、使い残しが相続税対象となるので注意すべきです。
生前贈与に関する3つの特例まとめ
・生前贈与には年間110万円の基礎控除枠がある
・それに加え、住宅購入、教育、結婚の3つの非課税制度の特例がある
・使い残しには相続税が掛かることには注意!
なお、これらの特例の非課税枠は、基礎控除の110万円と併用して使えます。例えば、住宅購入資金の非課税枠は700万円〜1200万円ですが、それに加えて年間110万円以内の贈与も非課税となります。特例を上手く活用すれば、税コストを最小限に抑え、子供に多くの財産を残せます。
税金は沢山払っても何の見返りもない、完全な「無駄金」です。逆に、節税する事にデメリットは何も無いので、合法的な節税は全て使い倒すのが、経済合理的な生き方です。