HOME > 納骨・墓・埋葬 > 墓石は何故そんなに高いのか?
日本でお墓を建てる際、墓石の代金と工事費用を合わせると、平均で200万円近くかかると言われています(⇒お墓の平均費用)。近年では、デザインに凝ったお墓も登場しており、それらは高い事は理解できますが、昔ながらのシンプルなお墓の値段でもこの料金では、少々解せない人が多いでしょう。普通の何故、墓石はこんなにも高いのでしょう。
墓石が高い理由の一つが、石そのものの価格が高額な事です。墓石に用いられる石の種類は様々で、比較的安価な物もありますが、高価な物は500万円以上する場合もあります。中でも、香川県高松市で産出される庵治石(あじいし)は世界一高価な石材とも言われており、この庵治石で作られた墓石は1000万円を超える物もあるとの事です。
なぜ庵治石が高いのかと言うと、非常に希少価値が高いからです。庵治石は水晶と同等の硬度があり、刃物でも傷つけられない程に頑丈なので、雨風に曝されても劣化する恐れが少ないです。そして、結晶が細かく水を吸いにくいため、膨張して石が割れるような心配もありません。また、磨けば磨く程にツヤが増し、美しい斑模様が浮き出てくるという特徴があります。
庵治石にはこうした墓石に適した特性がある反面、傷一つない完璧な状態で産出される物は全体のごく一部しかなく、その希少性が価格にも反映されているのです。庵治石に限らず、墓石に使用される石は希少価値が高い物が多く、ゆえに価格も高くなっています。
そして、工事にかかる費用が高いという理由もあります。お寺に墓石を建てる場合、まず基礎工事が必要であり、その後に外柵工事、免震施工などを行ったうえで、ようやく墓石を設置する事になります。墓石の重さは大きさなどによりますが、基本的には1トン以上の重量があり、設置にはクレーンなどの重機が必要です。もし、お墓の周囲が狭くて重機が使えない場合は全て手作業となり、その分費用も高くなってしまいます。
しかし語弊を恐れずに言うと、墓石が高い一番の理由は、石材店のボッタクリです。これは墓石に限った話ではありませんが、日本ではとにかくお葬式関連費用が高く、お寺や葬式会社のボッタクリが横行しています。一般人がお墓の適正価格を知る機会はほとんどなく、結局お寺や石材店の言うがままの値段で購入してしまうケースが多いようです。
そもそも、大半の墓石は原価率がかなり低いです。確かに一部では、庵治石のような高価な物もありますが、中には中国産の原価率10%程度の墓石もあります。特に近年は、利用される墓石の原産地は約80%が中国だという統計もあり、品質が不安定な割に価格が高い傾向が強いです。つまり墓石の価格の大部分は、石材店や霊園が搾取しているという事です。
また、多くの民間霊園は指定石材店制度を導入しています。これは、霊園側が指定した数社の石材店からしか墓石を購入出来ないという自主規制で、消費者側が指定しない限り担当する石材店は均等に振り分けられる事になっています。ゆえに石材店間での競争が起こらず、カルテルのように高い価格が維持され続けています。
墓石は何故そんなに高いのか?まとめ
・石が希少だったり、工事費用が高いなどの理由もあるが、基本的には石材店が暴利を貪っている
・客は、庵治石か中国産なのか見分けがつかないので、ボッタクリが横行
・民間霊園は指定石材店制度により、墓石の価格競争がほとんど無い
・ボッタクリを避けるには、指定石材店制度の無い公営霊園を選ぶのが吉
結局のところ、墓石の価格は石材店のさじ加減で大きく変わります。出来ればボッタクリの石材店は利用したくありませんが、上記の通り霊園には指定石材店制度があるため、自分で勝手に安い店を選ぶ事は出来ません。ですが、指定石材店制度を設けているのは、基本的に寺院墓地や民間の霊園であり、公営霊園ならば大抵は自由に石材店の選択が可能です。
予めネットで調べて墓石の値段を比較していれば、安価でデザインの優れたお墓も購入可能です。ボッタクリを避けたいならば、お墓は公営霊園に建てる事も考えておくべきでしょう。