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お葬式まで遺体を安置する基礎知識

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日本では、亡くなる人のおよそ80%が病院で最期を迎えています。遺体は一旦霊安室に運ばれますが、病院側は長期間保管する事を認めていない(およそ2〜3時間が限度)ので、一刻も早く他の場所へ移す準備を進める必要があります。この病院を出てからお葬式・火葬までの間を「安置」と呼びます。ここでは、安置にまつわる基礎知識を確認しておきます。

昭和の時代までは自宅へ搬送するのが一般的でしたが、近年は狭い家が多いうえに、マンションなどの集合住宅が増加した事で、自宅で安置するケースが減少傾向にあります。このような状況に対応するため、昨今では保冷庫を備えた葬儀社も多くなっていますし、葬儀を行う斎場や火葬場で遺体を預かるサービスが行われているケースも増えています。

ただし、葬儀社に遺体の安置を依頼した場合、料金が掛かることは勿論ですが、その葬儀社にお葬式も任せることになるので注意が必要です。お葬式の内容や料金は葬儀社によって大きく変わるので、亡くなってから慌てないように、事前に安置場所も含めて葬儀社を選定しておく事がベターです。

遺体は亡くなってから急速に腐敗が進むので、安置の際には速やかに、適切な防腐処置を行う必要があります。一般的には、ドライアイスを用いて故人の亡骸を冷やす事が多いです。気温にもよりますが、およそ1週間は遺体の保存が可能です。

ドライアイスの料金は1セット約1万円で、1日に1回の交換が必要です。東京のように慢性的に火葬場不足な自治体では、混み具合によっては1週間待たされる場合もあります。その場合、7日間遺体を保存するわけなので、7万円の費用が掛かる事になります。少々高額に感じるかもしれませんが、それでもドライアイスは遺体の保存としては最も安価な方法です。

エンバーミングと湯灌(ゆかん)の料金など

そして、近年では安置の際にエンバーミングという保存方法を施す習慣も広まっています。エンバーミングとは、遺体を消毒した後に、ポンプを使って故人の亡骸から血液を抜き、代わりに防腐液を注入するという保存方法です。

エンバーミングは、土葬の多いキリスト教圏で感染症のリスクを減らす目的などで広まった保存方法で、アメリカでは(条件によって)エンバーミング処理が義務づけられている州もあるようです。エンバーミング処理を行う事で、遺体は常温でも2〜3週間程度保存出来るとされており、ドライアイスを併用すれば1ヶ月近く持ちます。

ただし、エンバーミングを行うための料金は約15万円と高額です。この料金は日本遺体衛生保全協会(IFSA)が自主基準として設定しているため、どこの葬儀社に依頼しても大きな差はありませんが、葬儀社によっては搬送費やメイク料などの名目で2〜3万円程度上乗せされる場合もあります。お葬式や火葬を速やかに行えるのであれば、高い料金を支払ってエンバーミング処理を施す必要はないでしょう。実際、全日本冠婚葬祭互助協会のアンケートによると、2011年以降で遺体の保存にエンバーミング処理を行った割合は16.9%に止まっています。

お葬式まで遺体を安置する基礎知識まとめ
・病院で亡くなった遺体は、葬式の日まで自宅や葬儀社に搬送し安置する
・遺体の安置はドライアイスで冷やして腐敗を遅らせるのが一般的
・エンバーミング処理を行うと長期間保存出来るが料金が高い

なお、遺体の安置処理をする前に湯灌(ゆかん)を勧められる事も多いでしょう。湯灌とは、生前の汚れを清めるために、遺体を綺麗に整える儀式の事です。身体や髪を洗う、男ならヒゲを剃る、女性なら化粧を施す、死装束に着替えさせる、などの処置が行われます。

湯灌料金の相場は5〜10万円程度です。上記と同じ、全日本冠婚葬祭互助協会のアンケートによると、2011年以降に湯灌を行った遺族の割合は50%を超えています。湯灌の料金は安くないものの、故人の最期は綺麗に送ってあげたいと考える遺族は多いようです。

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