日本では、お葬式の平均費用は200万円近くかかるという口コミが蔓延しています。実際にはこれほど掛からないケースが多いのですが、この高額な費用を賄う方法として評判が高まっているのが「葬儀保険」です。
葬儀保険は、月額1000〜5000円程度の掛け金を支払っておく事で、加入者が亡くなった際にお葬式の費用が負担されるという保険です。死亡時にお金が支払われるという点では、生命保険と似ているようにも思えますが、有効性やデメリットで幾つか違いがあります。
葬儀保険の有効な点の一つが、加入に際して医師の診断書が不要という事です。生命保険の場合、医師の診断などを含めた審査が必要ですが、葬儀保険ではそれが不要です。また、生命保険の加入においては必須の告知(最近の健康状態、これまでの病歴、身体障害などについて保険会社に知らせる事)も、葬儀保険では必要無い場合もあります。
そして、葬儀保険には年齢制限が緩いというメリットもあります。生命保険では、80歳になると契約が打ち切られるのが一般的ですが、葬儀保険はそれ以上の年齢でも継続出来る場合が多いです。世界一の平均寿命を誇る日本人にとっては、保険の年齢制限が高い事は非常に有難い存在です。要するに一般的な保険に比べて圧倒的に審査が甘いので、加入者の評判で最も多い点が、この年齢制限が無いことです。
また葬儀保険は、死亡してから保険金支払いまでの期間が短い事もメリットです。保険会社にもよりますが、申請した翌営業日に支払って貰える会社が多いので、事前に立て替えする必要が無く、保険金をそのままお葬式費用を賄えるのが助かります。
一方で、葬儀保険は「保険金が安い」という大きなデメリットがあります。生命保険ならば数千万円を超えるような補償が受けられる場合もありますが、葬儀保険はあくまでお葬式の費用を賄うための保険であり、保険金は30〜200万円という会社が大半です。この程度の金額なら、毎月数千円の保険料を支払うより、自身で貯蓄しておく方が原理的には有効です。
というのは、そもそも葬儀保険に限らず、世の中の保険は基本的に保険会社が儲かる仕組みになっているので、大半の加入者は金銭的に損をするからです。火事(火災保険)や自動車事故(自動車保険)など、万が一の事故が起きた場合に1億円以上もの損害賠償が必要になる分野では、確かに保険でリスクヘッジするのは有効ですが、お葬式程度の金額なら加入せずとも貯蓄で十分賄えるので、デメリットの方が大きいと言えます。
ただし、お葬式保険の一種ともいえる「早割」については有効と言えるかもしれません。早割とは、葬儀会社の「小さなお葬式」が行っているサービスで、わずか500円の掛け金(掛け捨て)で、費用が最大66000円も割引されるという、非常にコスパの良い制度です。有効期限は3年+30日ですが、継続期間中に再度500円払えば更に3年間延長されます。
割引対象は、申し込んだ本人だけでなく、三親等まで有効というのもメリットです。中々評判が良いようなので、今後は他の葬儀会社からも、早割に相当する商品が登場すると思われます。
人はいつ亡くなるのか分からないのに「あらかじめお葬式を予約する意味はあるのか」と思う人も多いでしょう。しかし、長期的なコスパを考えるなら、早割を利用する事を考えるのも有効性が高いのでは?
葬儀保険の有効性まとめ
・葬儀保険は加入審査が甘いことで評判が高い
・ただし保険金が少ないので、金銭的に加入する意味は薄い
・葬式の「早割」などはデメリットやコスパを比較すべき
小さなお葬式だけに限らず、今後は様々な格安葬儀会社などで、早割などの事前申し込み割引の制度が増えてくると予想されます。但し早期申し込みは、その葬儀会社が倒産した場合、お金が戻ってこなくなるリスクがある事は注意点だといえます。そういう意味では、小規模・マイナーな会社や、評判が悪い会社は避けた方が賢明です。