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現代ではお葬式は、お寺やその地域の自治会館、あるいは民間の斎場を借りて行うのが一般的です。しかし昔の日本では、お葬式は自宅で行う「自宅葬」が普通でした。現在でも自宅でお葬式を行う事は可能ですが、それにはどんなメリットがあるでしょうか。
自宅でお葬式をする一番のメリットが、時間的余裕が大きい事です。斎場をレンタルする際には、他の家庭とのスケジュールの兼ね合いで、時間に追われて十分に故人との別れを偲ぶ事が出来ない場合もあります。自宅でのお葬式ならば、そういった心配はないです。お葬式は、遺族の悲しみを和らげるグリーフワークとしての役割もあるので、住み慣れた自宅で行えるのであれば、心の安らぎを得やすいです。
そして、斎場の利用料金がかからないのもメリットです。東京都で一般的な規模のお葬式を行う場合、築地本願寺や上野寛永寺などの有名寺院だと約100万円はかかりますし、民間の斎場を借りると10〜20万円、公営の斎場でも5万円程度は必要になります。自宅ならば当然、それらのレンタル料金は不要です。お葬式の費用を大幅に節約出来るのは大きなメリットです。
東京都の貸斎場の料金(目安) | |
護国寺や築地本願寺などの有名寺院 | 80〜150万円 |
一般的な寺院 | 30〜50万円 |
少し古い貸斎場 | 20〜30万円 |
火葬場の貸斎場 | 公営5万円〜 民営10万円〜 |
※上記料金データの出典;「ブラック葬儀屋」(幻冬舎新書)尾出安久・著
また、故人にとっては自分の最期を住み慣れた自宅で迎えられるのというメリットがあります。遺言で自宅葬を希望する人は意外に多く、故人の最期の願いを叶えられるというのは、遺族にとっても大きなメリットでしょう。
一方で、自宅葬にはいくつかの問題点もあります。その一つが、お葬式を行う場所の確保です。昔の日本の家屋は間取りが広い場合が多かったのですが、近年はアパートやマンションなどの集合住宅が中心であり、自宅でお葬式を行うだけのスペースを用意するのは困難です。家族葬のような小規模なお葬式ならばともかく、弔問客が何十人も来る規模のお葬を行う事は困難です。
そもそも近所付き合いの多い田舎では、今でも自宅葬が行われることは多いですが、都会の住宅では滅多に見かけません。自宅葬は、ご近所への配慮などの問題があるため、都会では実現が難しいのです。マンションなどの集合住宅では、ほぼ不可能といえるでしょう。
他にも、家族の手間が大幅に増える事も問題です。一般的なお葬式では、大まかな準備は全て葬儀会社が行ってくれますが、自宅葬では全てを遺族でやる必要があります。イオンなどの格安葬儀会社では、自宅葬の準備代行サービスも用意されていますが、料金は40万円程度かかります。これならば、斎場を利用した家族葬(およそ40〜50万円)とあまり差がないので、メリットは薄いです。
自宅で葬式を行うメリットまとめ
・時間の余裕が取れる
・斎場の利用料金がかからない
・ただし都会の住宅事情では自宅葬は難しく、マンションはまず不可能
このように、自宅葬にはメリットもあるものの、現代の日本で行う事は中々困難です。自宅葬を行いたくても、その環境によっては実現不可能な場合もあるという点には注意すべきです。