HOME > お葬式の基礎知識 > 仏教形式以外のお葬式の料金とデメリット
日本でのお葬式は、ほとんどが仏教の形式で行われます。日本消費者協会が2014年に行った「葬儀についてのアンケート調査」によると、葬儀の形式の割合は、仏教式が91.5%、キリスト教が1.7%、神道式が1.4%、無宗教が4.0%となっています。このように仏教以外のお葬式は少数派ですが、葬儀会社の中にはキリスト教や無宗教での葬式も受け付けている会社もあります。では、仏教形式とキリスト教や無宗教で、違い〜料金やデメリットがあるのでしょうか。
よく知られているように、キリスト教はカトリックとプロテスタントの二つの宗派があります。お葬式の流れとしては、カトリックとプロテスタントで大きな違いはなく、亡くなる→納棺→通夜の祈りor前夜式→告別式→火葬→納骨と、仏教の場合と似ている内容です。
本来のキリスト教では、仏教のような通夜に相当する儀式はないのですが、日本では通夜の祈り(カトリック)や前夜式(プロテスタント)と称した通夜が行われる場合が多いです。また、欧米ではキリスト教徒は土葬されるケースが多いですが、日本ではキリスト教徒も基本的に火葬になります。
※日本では土葬を禁じる法律は存在しませんが、自治体が条例で禁止にしている地域が多く、例えば東京や大阪などの都市部では土葬が一切出来ません。地域によっては土葬も不可能ではありませんが、それは一部に限られているのが実情です。
キリスト教でのお葬式の料金相場は約70万円で、仏式の平均189万円と比較して半額〜3分の1程度と安いです。これは、キリスト教では献金(仏教でのお布施に相当)が5万円程度で済む事、戒名代金が必要ない事(仏教では20〜50万円程度かかる)など、各種費用が安いからです。他に、キリスト教では四十九日などの法要がない(実際には存在するが「義務」ではない)ので、葬式後にはあまりお金がかからないというメリットもあります。
ただし、キリスト教での葬式にはデメリットもあります。その一つが、基本的に故人が生前から信者であった事が条件となっている点です。ゆえに、突然キリスト教でお葬式をしたいと申し出ても断られる可能性が高いです。一部の教会では、それまでキリスト教の信者でなかった人の葬儀も受け付けているようですが、その後定期的にミサへ出席する事を条件にしているなど、色々と制約がある点には注意が必要です。
なお、キリスト教では毎月教会へ献金(金額は特に決まっていないが数千円程度)する事が定められているので、お葬式を安く済ませるために入信するというのは、道徳的な問題だけでなく金銭的にもお勧め出来ません。
神道(神社)のお葬式も日本では有名ですが、神主に玉串料というお布施が必要だったり、死後に式年祭(5年祭や10年祭など)という年忌法要があるなど、内容は仏教と極めて似ています。したがって費用も仏教形式と大差ないので、神道の信仰者以外があえて選んでも、メリットは特にありません。
そして最近の日本では、無宗教葬を選択する人が増加しています。無宗教葬とは、その名の通り仏教やキリスト教など特定宗教の思想に囚われない形式で行われる葬儀を指します。無宗教葬は別名・自由葬と呼ばれる場合もあります。仏教式と違って、お坊さんへのお布施や戒名代が必要ないため、料金は50万円程度で済ませらるのがメリットです。
無宗教葬のデメリットとしては、決まった形式がないため、葬式が漠然としたまま進んでしまうケースが多い事です。故人が好きだった音楽や映像を流すだけで、故人との最期の別れが曖昧に終わってしまうケースもあるそうです。そして、無宗教葬はまだまだ新しい形式の葬儀なので、親族などの理解が得られにくい事もデメリットです。
専門家の赤城啓昭氏は著書(子供に迷惑をかけないお葬式の教科書)で「無宗教葬が出来るか尋ねれば、葬儀会社の能力が見極められる」と解説しています。例えば、イオンのお葬式では、無宗教葬を希望する家族に対して「音楽葬」を提案し、場面に応じて生演奏で音楽を流す形式を行うようです。「こうしたい」という明確な形が分からないが無宗教葬を行いたいなら、このように提案ができる葬儀会社を選ぶべきでしょう。
仏教形式以外のお葬式の料金とデメリットまとめ
・キリスト教の葬式は料金が安いが、基本的に信者しか受け付けていない
・キリスト教信者はミサへの出席や教会への献金などが必要な点には注意
・神道は玉串料(お布施)や式年祭(年忌法要)など仏教と似ている
・無宗教葬は更に料金が安いが、最期の別れが曖昧になりがち
冒頭で記述した通り、日本のお葬式は9割以上が仏式ゆえに、キリスト教や無宗教葬は特殊に見られがちです。仏式以外を選択する場合は、遺族や周辺の人物からの理解を十分に得ておく事が、何よりも重要です。単に「料金が安いから選ぶ」という理由なら止めておくべきです。