HOME > お葬式の基礎知識 > 「ティアの会」の葬儀費用が安い理由
ティアは1997年に愛知で創業された葬儀会社です。近年は全国チェーン展開で東京や関西圏にも進出し、年間1万件以上の葬儀を請負い、売上高100億円超、東証一部に上場する(証券コード・2485)など存在感を増しています。利用者の口コミを見ても、概ね高評価なようです。
ティアが短期間で勢力を拡大できた最大の理由は、お葬式の料金を明確にした事です。大半の日本人はお葬式に関する知識に乏しく、それが適正価格かどうかが分からぬまま、葬儀会社の言い値で支払ってきたのが実情でした。そんな中でティアは、祭壇が63万円、遺影写真が2万円、ドライアイス1回分5100円など、あらかじめ費用を明確にする事で信頼を得てきました。しかもこの値段は、それまでの一般的な葬儀会社と比べればかなり安いです。
そして「ティアの会」という会員制度が特徴的です。ティアの会員になる事で、お葬式の費用が通常価格より約52万円も割引されるのです(プランによって異なります)。ティアの会に入るためには、最初に入会金1万円(ネットから申し込むと7000円)を支払うだけでOKで、年会費などは不要です。これは、生前からお金を積み立てて葬儀費用に充てる「互助会」とは仕組みが異なり、お葬式の先払い予約のような制度です。
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2016年10月時点で、ティアの会の会員数は28万人以上との事で、高齢世代では口コミで広まっているようです。お葬式の件数が増えれば、会社側はスケールメリットを生かした経営で、各種コストが削減出来ます。つまりティアが有名になり、会員数が増えれば増えるほど、安く葬儀を行える事になります。
ただし、52万円安くなるといっても、実際はそれほどお得とは言えない点には注意が必要です。例えば、ティアの会で一般葬(参列者100名程度の規模)を行う場合、通常価格は120万円ですが、ティアの会に入会していれば68万円で済みます。しかし同規模の葬儀を他の全国チェーンの会社と比較した場合、イオンのお葬式では69万3000円、小さなお葬式では63万8000円なので、ティアの料金は特別安い訳ではありません。
つまりティアの通常価格はダミーのようなもので「ティアの会」の会員価格が正規の料金と考えるべきです。、百貨店の婦人服やスーパーの冷凍食品等と同じで、割引販売が前提=誰も定価で買わないことを承知の値付けだと言えます。ゆえに「割引額が大きくてお得だ」という口コミは正確ではなく、イオンや小さなお葬式と同等の、業界最安値クラスという事です(各社で細かなサービスは異なるので、どこが一番安いかの優劣は付けられない)。
ティアの会の葬儀費用が安い理由まとめ
・ティアの会は会員が多いのでスケールメリットで安く出来る
・そもそも他の葬儀会社がボッタクリだった
・但し会員料金でもイオンや小さなお葬式と同程度
もう少し内情まで解説すると、ティアのお葬式費用が安い理由は、ティアが安いというよりも、他の葬儀会社がこれまで暴利を貪ってきたという方が正解です。日本におけるお葬式の平均費用は約189万円ですが、実際にかかるコスト(原価)は50万円程度であり、残りの約140万円は葬儀会社とお坊さんの利益なのです。この葬儀会社の取り分を適正にする事で、ティアは葬儀費用を安く抑えているのです。