HOME > お葬式の基礎知識 > お葬式・通夜での東京独自の風習やマナー
お葬式は昔からのしきたりがあり、地域によって風習に違いがあります。特に、東京(関東)は他の地域と比べて独自の習慣が強い傾向にあります。以下で、東京と大阪(関西)のお葬式の風習やマナーを比較してみます。
まず、通夜振る舞いについてです。東京では、お通夜に来た人全員に料理を振る舞う独自の風習があります。よって東京でお通夜を行う際は、弔問客が予想より多くても困らないように、大皿のお寿司を用意するなどの準備が必要です。一方の大阪では、お通夜で料理を出す相手は基本的に親族だけで、一般の弔問客は焼香が済むと速やかに帰るのが通例です。
ただし地域に限らず、遺族から食事の誘いがあった場合は、断らずに頂くのが望ましいです。通夜振る舞いは料理に箸を付ける事自体が供養になるので、一口だけでも食べてから退出するというのが、全国共通のマナーです。
※通夜振る舞いは、昔は精進料理〜生臭ものを避けるのが習わしで、大皿のお寿司もかんぴょう巻きやいなり寿司などが中心でした。しかし仏教信仰が薄れた近年では、地域によっては通夜振る舞いで刺身や肉料理などを出す事も増えており、マナー違反にならない傾向です。
他に、香典にも違いがあります。東京では、香典は必ず受け取るのが礼儀です。それに対し、大阪など他の地域では、遺族が香典を辞退する事も可能です。香典は、弔問客に経済的な負担を掛ける、近所付き合いが希薄化している、香典返しという制度もあって色々と面倒、などの理由から、近年では香典を受け取らない遺族が増加傾向にあります。
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料金の安い家族葬であっても、香典だけでお葬式の費用を賄うことは無理なので、香典返し等の手間を考えると、受け取らない方が合理的だという訳です。なお、東京では香典をお通夜の際に渡す事が多い、大阪ではお葬式の当日に渡す、という違いもあります。
そして、お骨拾いも東京と大阪で違いがあります。東京では全骨と言って、火葬が終わった後の遺骨を全て拾って骨壷に納めますが、大阪では骨壷に入れる骨は一部だけ(残りは火葬場に残してくる)のが一般的です。こうした風習の違いから、大阪では遺骨を火葬場に処分してもらい、一切持ち帰らない「0葬(ゼロそう)」という方法も認められています。しかし東京では、故人への冒涜だという考えが浸透しており、0葬は火葬場で禁止されているようです。
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ただし、いくら大阪では0葬を認めていたとしても、遺族に反対される可能性は高いので、勝手な判断は絶対にやめておくべきでしょう。
お葬式に使われる「花」にも違いが見受けられます。東京では一般的に花輪が飾られますが、大阪では樒(しきみ)という植物が使われる事が多いです。樒にはお香のような独特の匂いがあり、昔は悪霊除けや清めに使われていた事から、お葬式にも用いられるようになったのです。
東京独自のお葬式の風習やマナーまとめ
・東京はお通夜の弔問客全員に通夜振る舞いをする独自の風習がある
・大阪やその他地域では香典辞退も可能だが、東京では認められない
・東京では全骨がマナーで、0葬は禁止されている
このように、東京はお葬式に関して独自の風習やマナーがあり、大阪など他の地域とは違う点も多いです。ゆえに、引越しして別の地域に移り住んだ、結婚して夫の実家で暮らすようになったという場合は、お葬式のやり方が大きく変わる事もあります。お葬式でトラブルにならないためにも、予め自分の住んでいる地域でのマナーや風習を確認しておく事が重要です。