HOME > 死亡後の手続き > 母子家庭が頼るべきな国の援助制度
夫が亡くなり母子家庭(シングルマザー)になった時に、最も困るのがお金の問題です。生命保険に入っていなかった家庭では、母親への負担は極めて大きくなります。そんな母子家庭を支援するために、国や自治体が様々な補助金制度を設けています。
遺族年金
母子家庭への援助制度の一つが、遺族年金です。遺族年金とは、夫(もしくは妻)が死亡した際に、残された遺族が受け取れる補助金です。自営業(国民年金)の場合は遺族基礎年金、サラリーマン(厚生年金)の場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金が受け取れます。
遺族基礎年金の金額は、780100円+子の人数(1人目・2人目は各224500円、3人目以降は各74800円)です。遺族年金の請求方法は、全国各地にある年金事務所へ印鑑・年金手帳・戸籍謄本などの必要書類を持って申請する事で受給出来ます。
児童扶養手当
他の有効な援助制度として、児童扶養手当もあります。児童扶養手当は、片親(父または母のどちらか一方)の家庭に対して、地方自治体から支給される教育手当です。2016年8月より支給額が増額され、収入の少ない母子家庭にとって更に有難い制度になりました。
支給額は、子供1人の場合は月額42330円、子供2人の場合は月額52330円(7月以前は47330円)、子供3人目以降は52330円を基準に1人に付き6000円ずつ加算(7月以前は1人に付き3000円)となっています。必要書類は住民票や健康保険証などで、申請先は在住の市町村役場です。
母子寡婦福祉資金貸付金
他には、母子寡婦福祉資金貸付金という援助制度もあります(自治体によって多少名称が違います)。母子寡婦福祉資金貸付金は、就学、就職、転居などを目的として、金利ゼロ(もしくは相当な低金利)で公的な機関からお金を借りられる制度です。申請先は在住地域の福祉事務所などで、戸籍謄本や住民票などが必要です。
お金に困った際に、慌ててキャッシングなどに手を出すと、金利が膨らんでローン地獄に陥る危険があります。まずは金利が無い自治体の援助制度を探すことが、最も重要です。
母子家庭等自立支援給付金
そして、母子家庭を対象とした自立支援訓練給付金もあります。母子家庭等自立支援給付金とは、看護師や保育士など、就職で有利になる資格取得のために、必要な費用の一部が支給される厚生労働省の定めた制度です(窓口は各自治体)。
母子家庭の家計が苦しい大きな原因は、一般的に賃金の安いパートやアルバイトなどしか働く場所がない事です。自立支援訓練給付金制度を使って、看護師や保育士など正社員として働ける資格を取得すれば、安定した収入が見込めるようになります。
注意すべき点として、都道府県によっては母子家庭等自立支援給付金制度を設けていないところもありますので、予め在住する市町村窓口で確認しておく事が重要です。
また(母子家庭に限った話ではないですが)所得が極めて少ない家庭の場合は、市区町村役場へ申請する事で、国民年金保険料および国民健康保険料の支払いが免除もしくは減免される制度もあります。
特に年金については重要で、年金保険料を支払うべき期間の3分の2未満しか納付していなかった場合は、将来に年金が一切もらえない事になっています。しかし保険料が「免除」されているなら、将来1/2相当の年金を受け取れます。つまり、保険料を払っていないという状況は同じでも、未納と免除では大きく意味は変わるのです。保険料を支払う余裕がない場合は、必ず免除・減免の申請を行うべきです。
母子家庭になった場合の国の援助制度まとめ
・児童扶養手当は増額されたのでより重要になった
・自立支援訓練給付金を活用して資格を得るのも有効
・国民年金や健康保険料は免除される場合もあるので絶対に申請すべき
なお、上記の制度全てを利用してもなお生活していくのが困難という場合は、最後の手段として「生活保護」が考えられます。生活保護は、生活に困窮している人に対して、最低限度の生活を保障し、自立する事を目的とした国の援助制度です。家や土地などの資産がなく、懸命に働いても生活が苦しい(もしくは働く事が出来ない)といった条件を満たす事で、生活保護の申請が可能になります。申請場所は在住地域の福祉事務所です。
ただし生活保護は、受給条件を満たしていた場合でも、窓口で何かと理由を付けられて申請が受理されないという、自治体による水際作戦が問題となっています。受理を拒否する理由は、生活保護費用の4分の1は自治体の予算から支払われる法律になっている為、受給者が増えると自治体の財政が圧迫されるからです。
これは極めて大きな社会問題ですが、解決せずに放置されているのが現状です。母子家庭の平均年収は約180万円という統計なので、本来なら完全に生活保護の対象世帯ですが、貰えるかどうかは未知数なので、あてにするのは得策ではないかも知れません。