年金制度には、自営業者が加入する国民年金、会社員が加入する厚生年金などがありますが、その他にも、亡くなった人の遺族に支払われる遺族年金という仕組みもあります。遺族年金とは、家族の大黒柱が失われた事で、遺族が生活に困窮してしまわないための支援制度です。
遺族年金の受け取り対象者は「亡くなった人に生計を維持されていた家族」に限定されています。生計を維持されていたという条件は、亡くなった人の収入によって生活をしていた事、および遺族が将来的に年収850万円以上にはならないと認められた場合を指します。生活費の全額を故人が負担していた必要はなく、夫婦共働きだった場合でも遺族年金は貰えます。
遺族年金は、大きく分けて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の二種類があります。遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されます。子供を持つ配偶者が受け取る遺族年金の金額は、年額77万2800円+子供の加算額(子供一人目と二人目は22万4000円、三人目以降は7万4100円)です。遺族基礎年金の需給対象遺族は、子のある妻、または子供(未婚かつ18歳未満)です。2014年4月1日以降は子のある夫も対象者となっています。
※遺族年金を貰う条件には、故人が生前に国民年金の加入期間の3分の1を超える滞納が無かった事も含まれます(2026年3月までは、亡くなる直近1年間に滞納がなければ良いという特例措置も設けられています)。これは死亡した時点での判断になるため、亡くなった後に遺族が慌てて滞納していた分を支払っても手遅れという点には注意すべきです。
そして、故人が厚生年金に加入していた場合は、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も受け取れます。遺族厚生年金で貰える金額は、故人が受け取るはずだった厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額と定められています。遺族厚生年金の受給対象者は遺族基礎年金よりも広範囲で、配偶者や子供だけでなく、父母、孫、祖父母まで含まれています。ただし、遺族には順位付けがされており、その中で最も順位の高い一人しか受給資格はありません(1:妻、夫、子 / 2:父母 / 3:孫 / 4:祖父母)。
なお、1986年4月に現在の年金制度がスタートした際、一人一年金の制度が定められました。ゆえに、同時に二つ以上の年金の受給資格があった場合、希望する年金をどちらか一つだけ選択しなければならない事になっています。
遺族厚生年金と老齢基礎年金のように、一部併給出来る組み合わせもありますので、詳しくは遺族年金の請求方法のページを参照下さい。また選択しなかった年金も、一時的に支給が停止されているだけなので、後から選択を変更する事も可能です。
遺族年金の対象者まとめ
・亡くなった人に生計を維持されていた家族(共働きの妻などもOK)
・遺族基礎年金の金額は年額77万2800円+子供の人数加算
・故人が生前に年金加入期間の3分の1を超える滞納が無いなどが条件
・既に妻が年金を貰っている場合は、遺族年金の対象外になる場合あり
・子供は18歳まで
また、国民年金や厚生年金は亡くなるまで一生涯支給が続きますが、遺族年金は条件次第で支給が打ち切りになる場合もあります。受給者が子供や孫だった場合は、18歳年度末をもって受給資格を失います。成人になれば、自力で生計を立てろという事ですね。また、結婚・再婚や離婚によって故人との血縁関係が無くなった場合も対象者から外れ、遺族年金は打ち切りとなります。